最新のどうぶつえん日記
キリンの新・給餌器「ぐるりん棒」 6月9日
先日、アフリカの草原にある屋外展示場の一角に、キリンのための新しい給餌器「回転式エサ吊り棒」を設置しました。
回転式エサ吊り棒
これまで屋外展示場での給餌は朝のみで、エサを食べ終わるとキリンたちは奥のほうで過ごすことが多く、お客様からは少し見えづらい状況でした。
「もっと見やすい場所で、作業の合間にもエサを与えられたらいいね」と、他の職員とも話し合い、この給餌器の設置を決めました。
ここに設置しています
この給餌器は、電柵の内側でエサを取り付け、人の手で回してキリン側にエサを移動させる仕組みです。
ぐるりと回す動作から、私は勝手に「ぐるりん棒」と呼んでいます。
ちなみに、エサの吊り上げも棒の回転もすべて人力です…。
設置後、普段からよく食べている枝葉を吊るしてみたところ、メスのアイとマリは特に警戒することもなく、すぐに食べてくれました。
一方で、オスのジャンプとジャジャマルは、エサが揺れるのが気になるのか、少し警戒している様子でした。
見慣れないものには慎重なようです。
ぐるりん棒で採餌
普段より高い位置にあるエサを、長い舌を使ってじっくりと食べる姿は、野生での行動に近いと感じられます。
ご来園の際は、「ぐるりん棒」でゆったりとエサを食べるキリンたちの姿をぜひご覧ください。
(木村 元大)
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回転式エサ吊り棒
これまで屋外展示場での給餌は朝のみで、エサを食べ終わるとキリンたちは奥のほうで過ごすことが多く、お客様からは少し見えづらい状況でした。
「もっと見やすい場所で、作業の合間にもエサを与えられたらいいね」と、他の職員とも話し合い、この給餌器の設置を決めました。
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ここに設置しています
この給餌器は、電柵の内側でエサを取り付け、人の手で回してキリン側にエサを移動させる仕組みです。
ぐるりと回す動作から、私は勝手に「ぐるりん棒」と呼んでいます。
ちなみに、エサの吊り上げも棒の回転もすべて人力です…。
設置後、普段からよく食べている枝葉を吊るしてみたところ、メスのアイとマリは特に警戒することもなく、すぐに食べてくれました。
一方で、オスのジャンプとジャジャマルは、エサが揺れるのが気になるのか、少し警戒している様子でした。
見慣れないものには慎重なようです。
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ぐるりん棒で採餌
普段より高い位置にあるエサを、長い舌を使ってじっくりと食べる姿は、野生での行動に近いと感じられます。
ご来園の際は、「ぐるりん棒」でゆったりとエサを食べるキリンたちの姿をぜひご覧ください。
(木村 元大)
新しく仲間入り! 5月24日
4月26日~29日のゴールデンウィーク前半、郷土の水辺に新しい魚たちが仲間入りしました。
可愛く立派な魚たち
それは来園者の皆さんに描いてもらった様々な魚たちです。
4月下旬から設備点検のため、「河口の自然」水槽の展示を中止していました。
そこで展示に代わるものとして、「みんなのお絵かき水槽」を開催しました。
開始初日から、次々と展示される魚たち。
あっという間に水槽は埋まり、4日間で500点以上の魚たちが登場しました。
にぎやかになりました
実物をしっかりと見て描かれたもの、魚の種名もちゃんと書かれたもの、想像上の個性豊かなもの、紙を折って魚の形にしたもの…展示されている魚たちも様々です。
本来の住人たちがいない水槽を賑やかに、鮮やかに飾ってくれました。
個性豊かな魚たち
思い付きで発案した「みんなのお絵かき水槽」ですが、あまり集まらなかったらどうしようと不安もありました。
そんな不安も吹っ飛ぶくらい、たくさんの方が魚に興味を持ってお絵かきをしてくださいました。
全ての魚たちを貼れるスペースが無いので、一部の魚たちだけ水槽の調整が終わるまでの期間限定で展示しています。
お絵かきしていただいた全ての皆様、ご協力ありがとうございました。
(北地 真理子)
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可愛く立派な魚たち
それは来園者の皆さんに描いてもらった様々な魚たちです。
4月下旬から設備点検のため、「河口の自然」水槽の展示を中止していました。
そこで展示に代わるものとして、「みんなのお絵かき水槽」を開催しました。
開始初日から、次々と展示される魚たち。
あっという間に水槽は埋まり、4日間で500点以上の魚たちが登場しました。
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にぎやかになりました
実物をしっかりと見て描かれたもの、魚の種名もちゃんと書かれたもの、想像上の個性豊かなもの、紙を折って魚の形にしたもの…展示されている魚たちも様々です。
本来の住人たちがいない水槽を賑やかに、鮮やかに飾ってくれました。
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個性豊かな魚たち
思い付きで発案した「みんなのお絵かき水槽」ですが、あまり集まらなかったらどうしようと不安もありました。
そんな不安も吹っ飛ぶくらい、たくさんの方が魚に興味を持ってお絵かきをしてくださいました。
全ての魚たちを貼れるスペースが無いので、一部の魚たちだけ水槽の調整が終わるまでの期間限定で展示しています。
お絵かきしていただいた全ての皆様、ご協力ありがとうございました。
(北地 真理子)
キオキオの糖尿病 近況報告 5月16日
ワオキツネザルのキオキオ(老齢のため、非公開エリアで飼育中)の近況報告です。
(※2024年6月15日のどうぶつえん日記のその後です。)
昨年の12月頃に食欲が低下した時期もありましたが、餌を細かく刻んだり、インスリン(血糖値をコントロールするホルモンを注射)の投薬量を調整したりすることで、体調が安定しました。
細かく刻んだ餌 葉野菜は残します
ワオキツネザルの飼育下の寿命は25年と言われておりますが、キオキオは今年の3月11日に30歳を迎えました。
調べたところ、今までに当園で飼育してきたワオキツネザルの中では、最高齢でした。
年をとりましたが、ジャンプして木にのぼります
糖尿病の治療を開始した時は「もっと良い方法があるんじゃないか」と悩みましたが、良い結果に繋がって嬉しいです。
引き続き穏やかな日々を送ってもらえたらと思います。
(動物病院 千葉 友章)
(※2024年6月15日のどうぶつえん日記のその後です。)
昨年の12月頃に食欲が低下した時期もありましたが、餌を細かく刻んだり、インスリン(血糖値をコントロールするホルモンを注射)の投薬量を調整したりすることで、体調が安定しました。
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細かく刻んだ餌 葉野菜は残します
ワオキツネザルの飼育下の寿命は25年と言われておりますが、キオキオは今年の3月11日に30歳を迎えました。
調べたところ、今までに当園で飼育してきたワオキツネザルの中では、最高齢でした。
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年をとりましたが、ジャンプして木にのぼります
糖尿病の治療を開始した時は「もっと良い方法があるんじゃないか」と悩みましたが、良い結果に繋がって嬉しいです。
引き続き穏やかな日々を送ってもらえたらと思います。
(動物病院 千葉 友章)
ドーネが健康に暮らすために 5月3日
ボルネオオランウータンのドーネは、日ごろから体温測定や歯磨きなどの健康チェックを行っています。
国内で飼育している大型類人猿の死因のなかで一番多いものが心臓病と言われています。
当園で飼育していたブロトスも2021年に心臓病で死亡しました。
心臓病の予防と早期発見を目指し、採血トレーニングを始めたことをきっかけに心臓エコー検査トレーニングも実施し、どちらともドーネの協力のおかげで成功することができました。
ドーネすごい!!
そして今回は新しい取り組みとして、血圧測定トレーニングを開始しました。
採血の時と同じように腕を入れる器具の作成から始めました。
これをやりたい
人間と同じく二の腕にベルトを巻いて測定しようと考えていたのでその箇所に穴を開けて、腕を置いてもらう部分に消防ホースを巻いてみました。
血圧測定器具バージョン1
実際に試してみたところ腕は問題なく通したのですが、腕の下にベルトを差し込むのが難しいと分かりました。
上記の反省を生かし、器具バージョン2を作成しました。
血圧測定器具バージョン2
今回はベルトを差し込むのではなく、ベルトを置いた状態でその上に腕を通してもらう方法を考えました。
腕を置いてもらう部分を消防ホースから凹状の木材に変更してみました。
実際に試してみたところ大成功!!
トレーニング、がんばっています
現在は消防ホースを腕に巻き、だんだんと巻く力を強くしている段階です。
測定をする時はベルトに空気を入れて圧迫するのでそれに慣らしていくためです。
これにもいろいろと試行錯誤が必要そうです。
ドーネと一緒に頑張っていきたいと思います。
また進捗ありましたらお話しますね。
(林 皓太)
国内で飼育している大型類人猿の死因のなかで一番多いものが心臓病と言われています。
当園で飼育していたブロトスも2021年に心臓病で死亡しました。
心臓病の予防と早期発見を目指し、採血トレーニングを始めたことをきっかけに心臓エコー検査トレーニングも実施し、どちらともドーネの協力のおかげで成功することができました。
ドーネすごい!!
そして今回は新しい取り組みとして、血圧測定トレーニングを開始しました。
採血の時と同じように腕を入れる器具の作成から始めました。
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これをやりたい
人間と同じく二の腕にベルトを巻いて測定しようと考えていたのでその箇所に穴を開けて、腕を置いてもらう部分に消防ホースを巻いてみました。
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血圧測定器具バージョン1
実際に試してみたところ腕は問題なく通したのですが、腕の下にベルトを差し込むのが難しいと分かりました。
上記の反省を生かし、器具バージョン2を作成しました。
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血圧測定器具バージョン2
今回はベルトを差し込むのではなく、ベルトを置いた状態でその上に腕を通してもらう方法を考えました。
腕を置いてもらう部分を消防ホースから凹状の木材に変更してみました。
実際に試してみたところ大成功!!
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トレーニング、がんばっています
現在は消防ホースを腕に巻き、だんだんと巻く力を強くしている段階です。
測定をする時はベルトに空気を入れて圧迫するのでそれに慣らしていくためです。
これにもいろいろと試行錯誤が必要そうです。
ドーネと一緒に頑張っていきたいと思います。
また進捗ありましたらお話しますね。
(林 皓太)
オランウータンの心臓病 5月2日
日本動物園水族館協会が発行している動物園水族館雑誌に、国内で飼育しているオランウータンの死因について調査したものが論文として掲載されました。
オランウータンの死因を調べた論文
いしかわ動物園がこの調査を行ったきっかけは、ボルネオオランウータンのブロトスが心臓の病気(心疾患)で死亡したことです。
海外では、心臓の病気が原因で、多くのオランウータンが死亡していることが報告されています。
一方で、国内で飼育しているオランウータンの心臓の病気については、詳しい報告がありません。
そこで全国のオランウータンを飼育していた動物園に協力していただき、オランウータンの死因や診療内容を調査することにしました。
その結果、国内でも心臓の病気が原因で、多くのオランウータンが死亡していることが明らかになりました。
また、オランウータンの心臓の病気を生きている間に見つけることは、とても難しいということも分かりました。
これらの調査内容を、他の動物園がいつでも検索できるようにするために、論文にしました。
現在、いしかわ動物園ではボルネオオランウータンのドーネに協力してもらい、オランウータンの心臓の病気が早期に分かる検査方法を模索しています。 (※ アニマルあいズ2024 春号・Vol,5-1参照 / PDF:ファイル/8,8MB)
検査するためのトレーニング自体は、熱意ある飼育担当者と、賢いドーネのおかげで順調に進んでおりますが、検査結果をまとめるところに苦慮しています。
ドーネの採血
国内では誰も行ったことのない取り組みなので一朝一夕には行きませんが、模索することをやめなければ、いつかは検査方法を確立できると信じています。
この取り組みを確立して、ドーネはもちろんのこと、全国のオランウータンの健康管理に繋げることが、ブロトスへの手向けであると考えています。
在りし日のブロトス
(動物病院 千葉 友章)
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オランウータンの死因を調べた論文
いしかわ動物園がこの調査を行ったきっかけは、ボルネオオランウータンのブロトスが心臓の病気(心疾患)で死亡したことです。
海外では、心臓の病気が原因で、多くのオランウータンが死亡していることが報告されています。
一方で、国内で飼育しているオランウータンの心臓の病気については、詳しい報告がありません。
そこで全国のオランウータンを飼育していた動物園に協力していただき、オランウータンの死因や診療内容を調査することにしました。
その結果、国内でも心臓の病気が原因で、多くのオランウータンが死亡していることが明らかになりました。
また、オランウータンの心臓の病気を生きている間に見つけることは、とても難しいということも分かりました。
これらの調査内容を、他の動物園がいつでも検索できるようにするために、論文にしました。
現在、いしかわ動物園ではボルネオオランウータンのドーネに協力してもらい、オランウータンの心臓の病気が早期に分かる検査方法を模索しています。 (※ アニマルあいズ2024 春号・Vol,5-1参照 / PDF:ファイル/8,8MB)
検査するためのトレーニング自体は、熱意ある飼育担当者と、賢いドーネのおかげで順調に進んでおりますが、検査結果をまとめるところに苦慮しています。
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ドーネの採血
国内では誰も行ったことのない取り組みなので一朝一夕には行きませんが、模索することをやめなければ、いつかは検査方法を確立できると信じています。
この取り組みを確立して、ドーネはもちろんのこと、全国のオランウータンの健康管理に繋げることが、ブロトスへの手向けであると考えています。
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在りし日のブロトス
(動物病院 千葉 友章)